ここでは親族承継と従業員承継の事業承継のメリットと注意点について解説していきます。

まず親族承継についてです。親族承継とは親族を後継者として行う事業承継のことをいいます。親族承継のメリットとしては税制上の優遇を受けやすいこと、後継者教育がしやすいことなどが挙げられます。税制上の優遇とは事業承継税制の利用です。

長年、事業承継の課題の一つとして事業承継時の贈与税や相続税の負担の重さがありました。こうした課題に対して事業承継税制が設けられました。この税制の特別措置を利用すると事業承継時に発生する贈与税・相続税が100％納税猶予、後に免除されます。ただし、この特別措置を利用するためには令和5年3月までに事業承継計画書を策定しなければなりません。この点については注意が必要です。

続いて従業員承継について見ていきます。従業員を後継者とするメリットとしては企業の内情をよく理解している人物を後継者とすることで、社内外からの理解を得やすいことが挙げられます。また経営者業務の引き継ぎ、後継者教育もしやすいといえます。

従業員承継の注意点としては事業承継がしやすい状況にあるかどうかという点です。後継者候補である従業員は事業承継をする時に株式を買い取る必要がありますが、株式の買取には多額の資金が必要になります。贈与してもらう場合であっても多額の贈与税を支払う必要があります。そのため対策として役員報酬を増額するなどして、資金を用意していくことや株式評価額を下げるなどといった対策が重要です。

どのような対策が必要なのかは企業によってさまざまです。早い段階から準備しておく必要があるといえるでしょう。

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